2010年6月26日土曜日

第1087回MS@相模原市

平成22年6月26日 午前6:30~
於:ホテルセンチュリー相模大野
参加者数:37社38名
講話者:
歴史研究家・進学経営塾経営
亀山 眞一 氏
テーマ:渋沢栄一に学ぶ人と思想

渋沢栄一は天保11年に生まれ、17歳で武士になろうと志を立てた。そうした時に一橋家に仕え、大政奉還と共に官僚機構に入った後、実業家となった。官僚を辞したのは、商工業者の意識の低さを見て、これでいけない、商工業を発達させようと、第一銀行、田園都市株式会社などを作り、日本資本主義の父といわれた。彼の思想のベースにあるのが「片手に論語、片手にソロバン」という道徳と経済は矛盾しないという考え方である。具体的には、良いものを安く売ることで信用ができ、その信用でモノが売れていく…という経済循環である。
逆境は人が作るという。人がどうすることもできず、コツコツと物事をやっていくしかない、だからこそ「縁」という心構えを持つことが大切と語っている。自分の力を認めてもらえないと嘆く人がいるが、本当に実力があれば世間が放っておくわけがない。一見、些細な仕事と思えることも大きな仕事の一部で、些細なことを粗末にする人物には大事は成し遂げられない。
渋沢は「常識」には「知識・情愛・意志」がバランスを持って成長するものといっている。本当の経済活動は社会のためになる道徳が基本になっていないと長続きしない。
論語を基本にした道徳を学び、社会のためにより良くお金を使うことが大事。そのたろには財産を築くことが必要で、カネを稼ぐこと賤しいことではない。ただし、そのように道を外さないためには、道徳を学んでいることが前提条件となる。
事業の本質は国家を富ますことにある。とはいえ、全てをなげうつことは無理な訳で、ある程度の利益を取る必要はあるが、個人の利益が大事なのか、国家の利益が大事なのか、というところがポイントとなる。ユダヤ人には90歳を過ぎて働いている者が多い。彼らは金儲けが目的なので、いくつになっても働くことになる。公のために、というところが無い者は本当の事業家でない、と渋沢は語っている。
社会の一員としての覚悟を持つことが大切である。そのためには、各々の立場で仕事に打ち込むことが大事で、その根底には国を富ます、言い換えると「公共の福祉」のために、仕事に携わることが大切である。自分の立場で国のために何が出来るのか、を常に意識しなくてはならない。こうした意識の元で動くことで「人の輪」が出来る。仲良くしさえすれば良い、というものではない。
企業経営を成功させるための4つの要点 ①その事業が成立すべきものか、②個人の利になると共に国家社会をも利するものか、③その企業が時宜に合っているか、④経営者に適当な人物がいるかどうか、を押さえている必要がある。
ろくな仕事がないと嘆くのは、無能を吹聴していることに等しい。役に立つ青年はどういう人かというと「磁石のような人」だという。人に頼んで仕事をもらわなくても、仕事がその人に寄ってくるような人が「役に立ち」「有能な人物」だという。そして、何事にも敬う心で接することが大切である。
昨今の日本でなぜ経済が失速したのか、その最大の原因は「国を富ます」という意識を忘れていることにあると考えている。今の日本には「ソロバン」はあっても「道徳」がない。国家の安寧には実業家自身の自覚が必要で、慈善的行為を促して、自らも実践することが大切である。渋沢は日本で最初の養育院を作った人物であるが、同時に単に施すだけでは相手のためにならないという。渋沢の元には、さまざまな出資の話が持ち込まれたというが、渋沢は道理がない事業には出資をしなかったという。
百年に一度の不況などといわれる今こそ、国のためにという渋沢精神に立ち戻ることが重要である。


1 件のコメント:

  1. 歴史!勉強になります!楽しかったです!
    また是非来てください。
    もちろん前日夜は飲みながらの会もお願いします。

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